『FP先生のお金の学校』とは?

住宅ローンの金利は上昇するのか?

5月から各社の住宅ローンの金利が上がっています。

といっても、今回上がっているのは固定金利型の商品です。

なぜ、固定金利型だけなんでしょう?

これは、変動金利型と固定金利型の金利の決定要因が違うからです。技術的な話になると難しくなるので、簡単に言うと・・・

●変動金利型

短期プライムレートなどの短期金利を基準に決定していますので、日銀の政策金利なんかに影響を受けやすくなります。アメリカでは0.25%の再利下げがありましたよね。

●固定金利型

長期プライムレートや長期国債10年ものなどの長期金利を基準に決定しています。もっと、突っ込んで言うと・・・
・将来の物価動向(インフレかデフレかの予測)
・将来の景気動向(経済成長がどのくらいか)
・将来のリスクに対する上乗せ金利(リスクプレミアム)

などが決定要因になります。

さて、今回固定金利型が上昇しているのは、長期国債10年物の金利が上がっているから(昨年末の1.3%くらいの水準から1.6%くらいになってます)です。

ここでさらなる疑問。

なぜ、長期金利が上がったのでしょう。

新聞やテレビでは、日銀が今年度の成長を下方修正したとか、住宅着工が冷え込んでいるとか、アメリカでも成長率を下方修正したとか、・・・なんとなくイメージは良くない話ばかり。さっきの話だと、将来の景気動向も決定要因みたいだし、金利が下がるはずじゃないの。な~んて、感じるかもしれません。

これ、実は市場経済が上記のようなマイナス発表を織り込んでいるということなんです。どういうことかというと、マイナスの発表でも市場が予測したマイナスの範囲ならすでに想定済みなので、動揺しないですよということ。つまり、今回の長期金利の上昇はそれを織り込んだ上で、現在の物価上昇傾向や今年後半に向けてのアメリカ経済の落ち着きを考えて、ある程度明るい見通しを持ったということかもしれません。あと、日銀が利上げするかもしれないとの警戒感も要因のひとつでしょう(実際には利上げ見送りになったので最近少し長期金利が下がりました)。

このまま経済が順調に行くなら、いずれ変動金利型も上昇(政策金利が引き上げられるため)するでしょう。

ただ、現状では経済の見通しに不安要因が多いのも事実。

投資で考える場合、やはり新興国投資は全体の数パーセントに抑えておくべきでしょうし、一部には同じく数パーセントにはなりますが、コモディティー(商品)を組み入れておくのはよさそうです。最近、コモディティーはドルの下げ止まり感もあり、一時期のような騰勢はありませんが、分散のひとつとしては今後も十分に機能します。

住宅ローンを考えた場合、昨日の新聞を見て、短絡的に変動金利型を選ぶのは禁物です。それぞれの商品のリスクを理解したうえで、どの程度ならリスクを受け入れることができるのかを確認し、商品の組み合わせや期間の選択をしていくべきでしょう。







同じカテゴリー(ローンの考え方)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
住宅ローンの金利は上昇するのか?
    コメント(0)